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別れ
過日の夕方に長年付き合いのある業者さんの担当者が不意にやってきた。
いつもは昼前後の来訪が多いのに珍しいと思っていたところ。

「実は私転勤することになってしまいまして.....」

玄関先で会って話をするだけの付き合い(?)だったし、
話と言ってもほんの数分...いやそこまで長くない事が大半だった。

つまり、「あーそうですか、これまでお世話様でした」
くらいで済んでも全然不思議ではない。

しかし、慣れた担当者が異動してしまうという事に淋しさを覚えた。
またいつか戻ってきて欲しいと思っている。
その時にはお互いにオイシイ仕事の話を交わせたらと思っている。

「やっと決めていただけましたか」
「その代わりに安くしてよーん」 とかw

そんなことをblogネタに書こうと書き始めてから思い出したことがある。


かつての仕事をしていたホテルのセクションのマネージャーが異動で遠くへ転勤することになった。

決して大柄ではないが、丸顔の大福みたいな人だった。
間違っても格好の良いというタイプの人ではない。
ダンディとか紳士的という感じでもない。
でも仕事は出来る。
空きがないから支配人になれないだけで、支配人クラスの人である。
飄々としていながらも面白い人で皆から慕われていた。
バイトからも上司からもである。

送別会には社員もバイトも参加して大勢で盛りあがった。

終わって店を出る時のことである。
入り口で店内を振り返ると、ガランとした店の中央で新入社員の女の子が2・3人でマネージャーに抱きついて声をあげてまるで子供のように泣いていた。
皆その光景を見守っていた。

俺の横にいた入社2年目(だったかな)の女性社員が、俺の方を見て力が抜けた感じに微笑みながらつぶやいた。

「ホントは私がああして泣きたいのに・・・」

「取られちゃった」って感じでつぶやき、後輩達に戻したその眼には羨望の色が浮かんでいた。
同時に大泣きしている後輩達に誰よりも強く共感して誰よりも温かい眼差しを向けていたのも彼女だ。

泣いてる子も、強い羨望と共感を持って見守る子もなんだかとっても微笑ましかった。

マネージャーはその日居合わせた全員に最も凄い所を見せてくれた。

しかも、去り際に。

しかも、本人が気づかぬうちに。

こうして俺は、人の涙のシーンでありながら忘れられないほど温もりある場面に居合わせた。
by yadoblog | 2006-09-12 21:59 | NCB
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